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※作者の独学用です。参考程度にご覧ください。
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「削除」の定義を確認する
実務ポイント
- 言葉の定義の不一致を疑う 依頼者が言う「消してください」と、開発者や技術者が認識する「消しました」には構造的なギャップが存在します。PMは双方の「言葉の定義」を揃える役割を持ちます。
- 要件定義で「スコープ(範囲)」を明確にする Webページやデータを削除する際は、単にサーバーから消去するだけでなく、以下のどの範囲まで対応に含めるかを事前に依頼主と合意しておく必要があります。
- サーバー削除: 該当ファイルの物理的・論理的消去
- 検索エンジン削除: Google等のインデックス削除申請、noindexの設定
- キャッシュ削除: ブラウザキャッシュ、CDN(配信ネットワーク)のキャッシュクリア
- アーカイブ削除: Wayback Machine等の外部魚拓・保管サービスの確認
- 関連資料修正: サイト内リンク、PDF資料、社内マニュアル、SNS過去投稿の動線確認
- 「アクセスさせない」代替案の検討 完全に消去することが難しい場合、古いURLにアクセスしたユーザーを自動的にトップページや新しい特設ページへ誘導する「リダイレクト(301/302転送)設定」を行う方が、ユーザー体験(UX)およびSEOの観点からも適切なケースがあります。
一言
「削除した」と「誰からも見えなくなった」は同じではない。
模擬問題にチャレンジ!
※作者の独学用です。参考程度にご覧ください。
テーマ
同じ用語について顧客とプロジェクト側で認識が異なった場合の、要件定義の不一致への対応
問題文
プロジェクトでは、顧客とプロジェクト側が同じ言葉を使用していても、その言葉が指す対象、対応する範囲、完了と判断する状態について、双方の認識が一致しているとは限らない。
その認識差が作業開始前に明らかにならず、プロジェクト側では要求を満たしたと判断していたにもかかわらず、後になって顧客が期待していた状態と異なることが判明する場合がある。
あなたがPMとして携わったプロジェクトのうち、顧客とプロジェクト側で同じ用語を使用していたものの、その意味や範囲について認識の不一致が生じた事例を一つ取り上げ、設問ア~ウに従って具体的に論述せよ。
設問ア
あなたが携わったプロジェクトの概要、目的、あなたの立場及び主要な関係者について述べよ。
また、顧客とプロジェクト側との間でどのような用語について認識の不一致が生じ、それぞれがどのような意味でその用語を捉えていたか、その不一致がどのように顕在化したかを具体的に述べよ。
800字以内
設問イ
設問アで述べた認識の不一致について、あなたはPMとして何を問題の本質と判断したか。
また、その判断に基づき、顧客の期待とプロジェクト側の認識を整理し、対応する対象、範囲及び完了条件を明確にするためにどのような対応を行ったか述べよ。
その際、プロジェクト側の責任範囲を超える要求が含まれていた場合に、それをどのように扱い、顧客へどのように説明・調整したか、その理由とともに具体的に述べよ。
800字以上1,600字以内
設問ウ
設問イで述べた対応の結果をどのように評価したか。
また、同じ言葉を使用していることをもって認識が一致していると判断することを避けるため、その後の要件確認やプロジェクト運営にどのような改善を行ったか。改善の理由とともに具体的に述べよ。
600字以上1,200字以内
回答例
回答例を見る
想定プロジェクト
スポーツ用品店のWebサイト保守案件。
季節ごとに公開されるイベントページについて、制作会社が公開・修正・削除などの保守作業を担当していた。
受験者は制作会社側のPMとして、顧客との要件確認、実務担当者への作業指示、作業結果の確認を担当する。
前年冬のスキー用品イベントページについて顧客から「削除してほしい」と依頼を受け、自社管理のWebサイトから削除した。
しかし後日、第三者のWebアーカイブサービス上に過去ページが保存されていることが判明し、顧客との間で「削除」の意味について認識差があったことが明らかになった案件とする。
設問ア 回答例
私がPMを担当したのは、スポーツ用品店のWebサイト保守案件である。
顧客は季節ごとに特設イベントページを公開しており、当社はサイト更新、ページ公開・削除、軽微な修正を担当していた。
私は制作会社側のPMとして、顧客との要件確認、実務担当者への作業指示、完了確認を行っていた。
主要な関係者は、顧客である店舗責任者、当社の営業担当者、コーダー及びPMである私であった。
春になり、顧客から前年冬に公開したスキー用品イベントページを「削除してほしい」と依頼された。
当社では、この依頼を自社が管理するWebサーバー上の該当ページを削除し、通常の閲覧経路から表示できない状態にすることと理解した。
実務担当者がページを削除し、当社側でも表示されないことを確認したため、私は作業完了と判断した。
しかし約3か月後、顧客から「削除したはずのページが残っている」と連絡があった。
確認すると、自社サーバー上のページではなく、第三者のWebアーカイブサービスに保存された過去ページであった。
顧客は「削除」を、第三者サービスを含めて利用者から見えなくすることまで含む意味で捉えていた。
一方、当社は自社管理領域からの削除を意味すると考えていた。
同じ「削除」という言葉を使いながら、対象、対応範囲、完了条件が一致していなかったことが問題であった。
【概算文字数:約560字】
設問イ 回答例
私はまず、今回の問題を単純な削除漏れや作業ミスとして扱わず、顧客と当社の間で「削除」という言葉の意味が一致していなかったことが本質だと判断した。
自社管理のページは実際に削除されており、実務担当者の作業自体は完了していた。
一方で、顧客が期待していた状態は、第三者のWebアーカイブに保存されたページも含めて閲覧できない状態であった。
この差を整理せずに責任の有無だけを主張すると、顧客の不安を解消できず、今後の関係にも悪影響が出ると考えた。
そこで私は、顧客との再説明に当たり、まず「何を削除するのか」「どこまでを当社の対応範囲とするのか」「何をもって完了とするのか」の三点に分けて整理した。
対象については前年冬のイベントページ、当社の通常の対応範囲については自社が管理するWebサイト上のデータとし、第三者が独立して保存しているアーカイブは当社の管理外であることを説明した。
また、自社管理下のページについては既に削除済みであり、その点では当初依頼への作業は完了していたことも示した。
ただし、顧客が過去ページを見られることに不安を感じている点は無視しなかった。
私は第三者サービス上の保存分まで当社が自由に削除できるわけではなく、削除結果を保証できないことを説明した。
その上で、今回は顧客自身が削除手続を行うことを前提に、当社が申請方法の案内や必要な情報整理を支援する案を提示した。
ここで重要なのは、当社の通常の削除作業と今回の支援を同一のものとして扱わないことである。
そこで、第三者サービスへの申請支援は追加的な対応であり、削除の成否そのものを当社の完了条件にはしないことを顧客と確認した。
顧客には、自社サイト上の削除と第三者サービス上の保存は管理主体が異なること、当社ができるのは申請支援までであることを説明した。
顧客はその違いを理解し、申請支援を希望したため、当社は手続に必要な資料を整理して渡した。
私は、技術的に何ができるかだけでなく、顧客がどの状態を「削除完了」と考えているかを明らかにし、その期待と当社の責任範囲を一致させることがPMとして必要だと判断した。
【概算文字数:約890字】
設問ウ 回答例
その後、顧客が第三者サービスへ削除申請を行い、当社も必要な情報整理を支援した結果、対象の保存ページは表示されなくなった。
顧客の不安を解消でき、当社側も自社管理下の削除作業と第三者サービスへの支援を区別した上で案件を終了できた。
私は、結果として顧客の要望に対応できた点は評価したが、当初の要件確認は不十分だったと考えた。
実務担当者は依頼されたページを正しく削除しており、作業品質そのものに問題があったわけではない。
しかし、私は「削除」という言葉を当社側の意味で理解しただけで、顧客が何を対象とし、どこまで見えなくなることを期待し、どの状態を完了と考えるのかを確認していなかった。
そのため、双方が同じ言葉を使っていることを、認識が一致していることと誤認した。
以後、削除、公開、修正、移行など、範囲や完了状態に複数の解釈が生じ得る依頼については、作業開始前に「何を」「どこまで」「何をもって完了とするか」を確認することにした。
特に、当社の管理外にある第三者サービスが関係し得る場合には、それが依頼範囲に含まれるかを明示し、当社が結果まで保証できないものはその旨を合意してから着手する。
また、例外的に通常の対応範囲を超える支援を行う場合も、通常作業の一部と誤解されないよう、今回の対応内容と支援する範囲を明確にすることにした。
今回の経験から、要件定義では用語を共有するだけでは不十分であり、その言葉が示す対象、範囲、完了条件まで具体化して初めて認識を合わせられると評価した。
【概算文字数:約650字】
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